2023年02月26日

マンションで行わることが多いバリアフリー工事の例とは?詳しくご紹介

マンションで行わることが多いバリアフリー工事の例とは?詳しくご紹介

マンションで安心・安全に暮らしていくために、さまざまな部分のバリアフリー化が求められています。最初のうちは暮らしやすいマンションでも、家族構成の変化や経年によって暮らしに支障が出ることもあるでしょう。

暮らすうえで障壁となる部分を解消するのが、バリアフリーです。マンションならではのバリアフリーの例について見ていきましょう。

バリアフリーとは?

バリアフリーとは、障壁という意味である「バリア」を取り払ったという意味の言葉です。建築用語として使われるバリアフリーとは、生活をするにあたって不便なところ、不都合な箇所を取り除いている、設備やシステムを兼ね備えている安心・安全な住まいのことを指します。

バリアとは、段差や手すりなど必ずしも物理的な部分だけを言うのではなく、精神的な部分も指しているのが特徴です。高齢者はもちろんのこと、障害がある人、子どもから大人まで、すべての人が快適に日常生活できることを目的としているのがバリアフリー住宅と言えます。

住宅での危険とは?

少し前までは、住まいは安全であることが当たり前といった考え方もありました。屋外のほうが交通事故やケガといった危険が多いようなイメージも強いですが、実際には交通事故で亡くなった方よりも、家庭内の事故で亡くなった方のほうが多いのです。

厚生労働省が2020年に行った調査によると、家の中で発生した事故でお亡くなりになった人は13,708人、交通事故で亡くなった方は3,718人でした。圧倒的に家庭内の事故のほうが多いのです。

家の中で発生した事故の種類には、浴室での事故や転倒、転落などが挙げられます。年齢でもっとも多いのは80歳以上、その次が65歳から79歳で、65歳以上の高齢者が9割ほどです。

事故の種類でとくに多いものは、居間や廊下、玄関にある段差や出っ張っている箇所につまずいて転倒する事故、階段や段差からの転落、転倒による事故のほか、浴室での急激な寒暖差によるヒートショックも含まれています。

住宅での危険とは?

最近では、ユニバーサルデザインと呼ばれる住宅も増えてきていますが、バリアフリーとの違いがわからないという方も多いでしょう。

厳密な違いがあるわけではありませんが、バリアフリーは障壁を取り除くことが重視されています。それに対してユニバーサルデザインは、年齢や性別、国籍や人種など、すべての人にとって使いやすいように設計されていることを指す言葉です。対象はとても広く、住宅だけでなく、生活に使う食器から都市計画まで幅広く使われています。

マンションにおけるバリアフリー工事の例

マンションでバリアフリー化を進めるにあたって、どのような施工があるのか、具体的な例を見ていきましょう。

室内の段差解消

代表的とも言えるバリアフリーの工事は、床にある段差の解消です。マンションの場合、上下の階をつないでいる、排水竪管と呼ばれる排水を流すための菅が配置されています。そして、この排水竪管に排水を流すために、それぞれの居住スペースの床下には、排水横引き菅という排水菅が設置されているのです。

排水をきちんと流すためには、適切な勾配が必要となっています。勾配がないと、流れにくくなるばかりか、逆流をして悪臭がする可能性もあるためです。そのことから、マンションの床はある程度の高さを確保して、段差があることが基本となっています。

最新式のマンションによっては、最初の施工の段階から、排水が必要となる洗面所など水回り部分のコンクリートを下げておくことで、床そのものの段差を解消しているところもあります。

床に段差があるマンションの場合には、低い部分である廊下やリビング部分の床を高くすることで、居室スペース全体の段差を取り払ってフラットにすることが可能です。

手すりの設置

比較的導入しやすいバリアフリー施工が、移動や動作のサポートをするための手すりの設置です。浴室や玄関、廊下などが該当します。トイレや浴室などは掴んで立つ動作となるため、専用の手すりの設置が必要です。

形状や材質などによって、設置費用や期間は異なります。共用部の階段や廊下など広い範囲に付ける場合は、施工の期間も長くなるでしょう。

浴室のリフォーム

マンションの浴室をバリアフリーのためにリフォームする場合は、設備の入れ替えと、ユニットバスそのものを入れ替える施工のどちらも選べます。

床材は転倒しにくいように、濡れても滑りにくくなっている、もしくは速乾性がある加工をされているタイプを選ぶようにすると安全です。

また、浴槽の高さや形状などにも工夫をする必要があります。浴槽の高さは30センチから40センチほどが使いやすいと言われており、高すぎる浴槽は転倒のおそれがあるので注意が必要です。また、浴槽に腰掛けられるような、ふちが広いタイプの浴槽もおすすめします。

浴室で起こりやすい、寒暖差によるヒートショックを防ぐためには、断熱性が高いタイプのユニットバスを選ぶことも必要です。また、乾燥設備が付いているユニットバスであれば、ヒートショック予防だけでなく、室内で洗濯物を干したいときにも便利でしょう。

ドアの交換

開き戸は、通常であれば問題ない部分ですが、高齢者や車いすの人にとっては開閉しにくいと感じることもあるでしょう。開き戸ではなく、横にスライドする形で開け閉めをする引き戸タイプのドアに変えることで、問題を解決できます。

ノンレールタイプであれば、段差を付けることなく引き戸に替えることが可能です。また、レバーハンドルを取り付けることで、握力が少ない人でも容易に開け閉めできます。スペースの関係で引き戸タイプにできない箇所は、力が弱い人でも開け閉めしやすいドアノブにする、もしくは手を放しても急激に閉まらずに、ゆっくり閉まっていくタイプの開き戸ドア本体にすることを検討してみましょう。

キッチンのリフォーム

キッチンも、バリアフリーに対応した製品にすべて入れ替える工事もありますが、設備の一部を取り換えることでもバリアフリーにできます。具体例を見ていきましょう。

収納については、キッチンの収納を引き戸から引き出しのものにすることで、取り出しやすい収納となります。

キッチンの床が濡れても滑りにくいタイプや、クッション性のある床材に変更することで、水がこぼれたことで滑ってしまう事故や、転倒をしても大きなケガにつながるトラブルを防ぐことが可能です。

壁は、調理をするときに引火を防げる、燃えにくいタイプの壁紙を選びましょう。水ハネに強いものであれば、手入れもしやすくなります。タイル張りの壁の場合は、火に強いタイプのパネル張りに替えることもおすすめです。

調理設備について、キッチンは、引火や火の消し忘れによって起こる火災の危険がある場所と言えます。拭きこぼれ防止や消し忘れ防止が付いたコンロ、火そのものを使わずに調理ができるIHクッキングヒーターに替えることで、火災を防ぐことが可能です。

キッチンの水栓も蛇口式のタイプだと、手に力が入りにくい人や高齢者にとっては、開け閉めのために蛇口をひねる操作が難しいこともあります。力の弱い人でも開け閉めしやすい、レバーハンドルやボタン式に交換することでも、バリアフリーにつながるでしょう。

火災の危険が多いキッチンでは、火の消し忘れやうっかり燃え移るのを防ぐために、安全装置の付いたコンロやIHクッキングヒーターを選びましょう。

安全装置として、もしもガスが漏れた、火災が発生したときのために、ガス漏れ検知器や火災報知器の導入も検討しましょう。通報装置が付いているとより安心です。

まとめ

バリアフリーとは、高齢者や障害がある人をはじめとして、さまざまな年代の人が使いやすい住居にすることです。

マンションにおいてバリアフリーを検討している場合は、排水管のために段差がある床をフルフラットにして解消するリフォーム工事のほかにも、キッチンや浴室の設備の交換、ドアを引き戸タイプに交換をするなど、設備や部品の交換をすることなどが挙げられます。さまざまな観点からより暮らしやすい家にしていくために、バリアフリーリフォームを考えてみてはいかがでしょうか。

「株式会社NumberSecond」は、東京都港区・渋谷区・目黒区・世田谷区・千代田区・中央区・文京区や神奈川を中心として、再建築不可の建築物リフォーム、ビルやマンションのリフォーム・リノベーション工事を手掛けている会社です。水回りの交換や、バリアフリーのため手すり設置・ホームエレベーター設置などのリフォーム、リノベーションにも対応をしています。マンションのリフォームのことでお悩み、相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。